初の漫画レビューは「呪術廻戦」です。
だいぶ時間がかかりましたが最新巻まで読了したのでレビューします。
呪術廻戦には読者目線が決定的に足りない
一言で言えば読者目線が決定的に足りない漫画だと感じました。
呪術廻戦はアクションシーンが雑すぎる
時間がかかった理由でもありますがアクションシーンが中盤まで恐ろしく雑でスムーズに読めません。
上手く描きたいけど描けないのではなくこんなんでいいっしょ?感があってムカつきながら読んでいました。
ドラゴンボールやスラムダンクを読んでいる時「この動きどうなってんの?」と思う人はほとんどおらず流れるように読めると思います。
それは必要な動きのカット(点)を省かずに前の点との繋がりを意識して描くことで綺麗な線になっているからで、これによって作者が読んでもらいたいテンポで読者に読んでもらえます。
本来漫画のアクションシーンはアニメの原画作成に近いと思います。
呪術は描きたいカット(点)を繋がりを意識せずに描いているようでアクションシーンで引っかかることが多すぎてテンポが悪いです。
恐らくアニメスタッフは作者の適当さにムカついていたと思います。
原作のアクションシーンを忠実に再現するとあり得ない動きになるのでゼロから作るレベルだったはずです。
これはOKを出している編集の責任でもあります。
呪術廻戦はキャラ立ちしていない
それとキャラ立ちしていないです。
いい少年漫画はキャラに想いがありその想いを原動力に勝手に動いた結果がストーリーになっているように見えるものです。
事実キャラが勝手に動くことでストーリーが大きく予定と変わることもあります。
呪術廻戦のキャラは想いが希薄であくまでもメインはストーリー、キャラはストーリーを成立させるための駒に過ぎずません。
そのためまるでニュースでもみせられているかのように淡々とストーリーを追っている感覚でした。
呪術廻戦のキャラにストーリーを動かす程の命は吹き込まれていないようなので、ストーリーは当初の予定通りに進んでいるんじゃないでしょうか?
原因はキャラ造形と名刺となるような性格を明確にしてそれを読者に分からせる作業が不足しているためではないかと思います。
○○と言えばどんな人?○○ならこんな時どう行動する?といった○○らしさが不明瞭なキャラが多く感じました。
キャラ立ちのポイントは執着していることとその理由
キャラ立ちさせるためのポイントにそのキャラが執着していることがあります。
執着していることとその理由となるエピソードがはっきりしていればいるほど他のキャラとの区別がはっきりとなされ、読者のキャラに対する好き嫌いもはっきりします。
これがキャラ立ちです。
NARUTOであればナルトが執着していたのは火影になることで、その理由は自分に里を襲った九尾が封印されていることで里のみんなから疎まれていることから里の長火影になることで里のみんなから認めてもらうためです。
ヒロアカであれば出久が執着していることは最高のヒーローになることで、その理由は子どもの頃に観たオールマイトへの憧れです。
呪術廻戦はどうでしょうか?
虎杖が執着していることとその理由は?と聞かれてスラスラと答えられる人はどれだけいるでしょうか?
人に正しく死んでほしい?なんで?
イマイチよく分かりません。
五条は?伏黒は?釘崎は?七海は?
キャラをあっけなくバンバン殺せば衝撃的な死になるわけじゃありません。
そのキャラがどんな性格なのかをよく知らなければ何が起ころうが所詮他人事のニュースに過ぎません。
思い入れがあるからこそあっけない死が、死は必ずしも劇的でないことを教えてくれますし衝撃的な死となります。
イマイチなのはそのためで、キャラ立ちは少年漫画では一番の肝なんだと思い知らされました。
芥見下々さんは才能はあるが一発屋になる可能性がある
それらを差し引いてまぁ面白いと言えるのは過去作を自分なりにアレンジした設定とストーリーづくりのセンスが相当凄いということなんだと思います。
ただ芥見下々さんはもっと本気で読者と向き合わないと呪術が売れてしまったことでその成功体験が自身の正解になってしまい、周囲の声に耳を傾けなくなり、結果的に少年誌向けの漫画家としては一発屋になってしまい漫画家人生を短くする可能性があると思いました。
才能がある方だと思うので今後に期待したいです。