今回はヒロアカこと僕のヒーローアカデミアが何故面白いのかについて分析してみたいと思います。
ヒロアカはキャラ造形が凄い
ヒロアカは今まで3000冊は読んできた歴代の漫画の中でもトップクラスに好きです…
作者である堀越耕平さんの読者を楽しませたいという想いがビンビン伝わってきます!
そこまでやる?というくらいにキャラ造形を創り込んでいて、テレビにちょろっと映るだけのニュースキャスターですら歩んできた人生を創り込む拘りようです。
昔と今の漫画に求められる展開のスピードの違い
ただ昔と違って最近の漫画は求められるスピードが桁違いです。
昔とは比べ物にならないほど手軽で短時間な娯楽が溢れているのでやたら長い回想シーンなどを多用したダラダラとした展開は即読者離れに直結します。
同じジャンプの能力系漫画でもONE PIECE、NARUTOといった一昔前の作品とヒロアカ、チェンソーマンといった最近の作品ではテンポがまるで違うのが分かると思います。
どちらも好きではありますが今の若者相手に100巻近い物語を始めるのは無理だと思います。
だからヒロアカは長々と各キャラのエピソードを出すことがなく読者に出す情報はキャラのビジュアルだったりセリフだったりと極限まで削ぎ落とした結晶の情報が中心です。
けれども結晶の元には読者の目に触れることがない膨大なストーリーがあり、それがキャラのセリフや行動に説得力を生み命を宿します。
だからこそ出てきたばかりのキャラでも自然とすぐに感情移入できてしまうし、キャラの行動やセリフに心を揺さぶられます。
それはヒーローサイドのみならずヴィランも同様です。
殆ど読者に触れることがない情報づくりに時間を注ぎ込む堀越さんの姿勢にはただただ脱帽します。
ヒロアカの凄さは堀越さんの「楽しませたい」という熱量
その努力がスピーディな展開、魅力的なキャラ、エモーショナルに心を激しく揺さぶる重厚なストーリーを両立させています。
更には描くのがかなり大変であろうコスチュームにも一切手を抜きません。
これら全てを高クオリティで週刊連載で実現しているのは信じられないし、一体どれほどの犠牲を払っていることか。
恐らくは「読者に楽しんでもらいたい」この、漫画家にとって最も純粋で真っ当な動機が物凄い熱量で存在していなければ到底成し得ない神業です。
物語は32巻で最終章に突入し恐らくは40巻を超えることなく終劇を迎えるでしょう。
勧善懲悪そのものであるヒーローVSヴィランという体裁をとりながら、ヴィラン側のキャラの背景をもしっかりと創り込むことでお互いが紙一重の存在であることが浮き彫りになります。
ヴィランにはヴィランなりの正当性がありそのことが最終章のカタルシスへの大きな前振りになっています。
ヒロアカは出久が最高のヒーローになるまでの物語。
最高のヒーローとは出久が憧れた笑顔で人々を救うオールマイトのような存在なのか?
それともヴィランさえも救うヒーローなのか?
ヒロアカを創ってくれたことに心から感謝と喜びを感じながら最後まで胸を躍らせたいと思います。