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新型コロナウイルス感染症対策でテレワーク継続しない企業のリスク

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新型コロナウイルス感染症の感染拡大が止まりませんね。

2020年7月23日はついに東京都の1日の感染者数が300人を超えました。

対策の一つとして、テレワークを実践している企業もあると思いますが、緊急事態宣言が解除されたタイミングでテレワークをやめた企業も多いのではないでしょうか?

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が止まらない中、テレワークをできるのにしないことでどんなリスクがあるのか、従業員の立場でも経営者の立場でも気になるのではないでしょうか?

そういった疑問について、調べてみたのでご紹介します。

コロナの緊急事態宣言以降のテレワーク実施率の推移

緊急事態宣言前後のテレワーク実施率の推移は以下の通りです。

  • 緊急事態宣言が解除された後、正社員のテレワーク実施率は、全国平均で25.7%。7都府県に緊急事態宣言が発出された後の4月中旬は27.9%であり、2.2ポイントの減少(図表1)。

図表1.テレワーク実施率の推移
図表1.テレワーク実施率の推移

  • 調査の回答日別にテレワーク実施率をみると、5月29日(金)は30.5%、6月1日(月)は23.0%と、7.5ポイントも減少。緊急事態宣言解除後の翌週から出社する傾向が強くなり、テレワーク実施率は約4分の3へと減少(図表2)。

図表2.5月29日と6月1日のテレワーク実施率
図表2.5月29日と6月1日のテレワーク実施率

出典:パーソル総合研究所 緊急事態宣言解除後のテレワークの実態について調査結果を発表 テレワーク実施率は全国平均で25.7%。4月に比べて2.2ポイント減少

緊急事態宣言によりテレワーク実施率は倍以上になりましたが、解除後は約4分の1の企業がテレワークをやめてしまいました。

コロナの緊急事態宣言解除後にテレワークをやめた企業の理由

緊急事態宣言解除まではテレワークできていた企業は、なぜテレワークをやめてしまったのでしょうか?

目にする理由としては主に「生産性の低下」をあげられているようです。

生産性をどのように計っているいるのか?

どこまで検証されているのかは不明ですが…

コロナで政府や自治体は経済団体にテレワークを要請してる?

テレワークの推奨、要請はどのように行われてきているのでしょうか?

2020年2月21日に以下の通り、厚生労働省から経済団体へテレワークの要請を行っています。

職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関する経済団体への要請について

2020年7月17日に小池都知事から、7月20日には西村経済再生担当相から、それぞれ経済団体へテレワークの要請を行っています。

東京都「新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたテレワークや時差出勤等の取組に関する要請について」

西村再生相、テレワーク継続要請 経済3団体トップとテレビ会議―新型コロナ

また、2020年5月4日に新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言「新しい生活様式」として、テレワークが記載されています。

ですが、僕の知る限りこれらの要請に強制力はありません。

コロナでテレワークにしないことで感染した場合の企業の責任は?

政府や自治体が経済団体にテレワークを要請しても企業がテレワークできるのに認めてくれない状況で出社したところ、新型コロナウイルス感染症になってしまった。

その場合、企業の責任はどうなるのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症は死亡するケースの他に以下のように後遺症が残るケースもあります。

厚労省や日本感染症学会の関係者らによると、COVID-19の患者が陰性となって退院した後も息苦しさのほか、倦怠感や発熱、味覚障害などのさまざまな症状に苦しむ症例が医療現場から相次いで報告されている。軽い頭痛や関節痛やめまい、食欲不振といった比較的軽い症例もある一方、自宅で酸素吸入が必要になったり、極度に疲れやすくなって職場や学校に通えず社会生活に戻れなくなったりする症例もあるという。

出典:サイエンスポータル 新型コロナ「後遺症」の原因を究明へ 厚労省が2千人対象に調査

企業には従業員の安全に配慮する義務『安全配慮義務』があります。

労働契約法では以下のように定められています。

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

出典:e-Gov 労働契約法

以下の記載にあるように、テレワークできるのに推奨せずに、従業員が新型コロナウイルス感染症になった場合、企業に賠償責任が生じる可能性があります。

[ Q ]

当社は,特に従業員にリモートワークを推奨しておらず,通常通り全従業員が出社しています。従業員が業務中に新型コロナウイルスに感染した場合,会社に何らかの責任が生じますか。

[ A ]

業務への影響,事務,費用負担などを考慮しても,在宅勤務の導入が容易であったと認められる場合には,安全配慮義務違反に基づき,一定の損害責任が生じる可能性は否定できません。

出典:弁護士法人桑原法律事務所 リモートワークを推奨していない会社の従業員が,業務中に新型コロナウイルスに感染…会社の責任は?

また、新型コロナウイルス感染症で死亡した方を含めて既に130人以上が労災認定されており、厚生労働省は積極的な申請を推奨しています。

コロナでテレワークしない企業がどう思われるか?

テレワークできるのにしないことで感染者が出た場合、企業に賠償責任が生じる可能性があることは分かりましたが、仮に賠償責任を免れた場合、企業にリスクはないのでしょうか?

僕がその場合でもあると思う企業のリスクは以下です。

  1. 従業員の退職リスク
  2. 採用が難航するリスク
  3. 事業活動が止まる・遅延するリスク

1.は従業員の命や健康に配慮しないことなどによる不信感から、従業員が退職するリスクです。

平時にいくら従業員が大切、従業員は家族などと謳っていても、緊急時は行動がすべてです。

また、このような緊急事態が頻繁に起こることは考えにくいので、緊急時に失った信頼を平時に言葉だけで取り戻すのは不可能だと思います。

今は求人も少なく転職活動もしづらいので転職活動を控える方も多いでしょうから、コロナが落ち着いたタイミングで大量退職が起こるリスクがあると思います。

2.も退職リスクと基本的には同様です。

僕はこの状況でテレワークを行っていない東京や大阪などの感染者数が多い地域のIT企業は、求職者から以下のように見られるリスクを抱えていると思います。

  • 従業員を大切にする、従業員は家族などと謳っているが、実際は従業員が死のうが後遺症に悩まされようが構わない、従業員を替えのきく部品としか思っていない企業。
  • 社会貢献やチームワークを謳っているが、政府や自治体の要請を無視し、自社さえよければ他の企業が緊急事態宣言の休業要請で潰れようが、感染拡大で誰が死のうが後遺症に悩まされようが、自社の利益のことしか考えない自己中心的な企業。
  • テレワークを実現できる仕組みづくりなど、新しい取り組みに消極的で遅れている企業。
  • テレワークを実現できる仕組みづくりに投資する余力がない企業。

逆に、現在の状況は、就職活動される方が上記のような観点で企業を評価できる滅多にないチャンスでもあります。

企業選びの指標のひとつにしてみてはいかがでしょうか?

3.は新型コロナウイルス感染症になった従業員が長期離脱すること、また事業所閉鎖対応などにより事業活動が止まったり遅延したりするリスクです。

まとめ

  • テレワーク実施率は緊急事態宣言解除後から下がっている。
  • テレワークをやめた企業の主な理由は生産性の低下。
  • 政府や自治体は経済団体にテレワークの要請をしているが無視している企業も多い。
  • テレワークできるのにしない場合、企業に賠償責任が生じる可能性がある。
  • 賠償責任を免れても退職、採用難航といったリスクがある。

企業には様々な事情があるかと思いますが、ここまでコロナの感染拡大が止まらない状況では、命を落とす方、後遺症に悩まされる方が増え、緊急事態宣言が発令されて休業要請により、取引先も含めれば世界規模で潰れる企業が出てしまうかもしれません。

経営者のみなさまは、緊急事態宣言が発令されたらテレワークすればいいやと、自社の利益だけを考えてコロナの前と同じように事業を進めようとするのではなく、これだけのリスクがあることを認識していただき、少しずつ我慢することで、日本全体でコロナから身を守りながら経済を回せるよう、「新しい生活様式」に沿ってワンチームとして協力していきましょう!

 

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